私たちが大切にしていること
牛を健康にする環境づくり
○約250頭の牛たちが自由に動き回り寝食できる「フリーストール牛舎」を採用しています。年齢や乳量、繫殖ステージに合わせて牛群を分け、ベッドサイズから餌のメニューに至るまでデータに基づく適切な環境で牛を飼育しています。
○毎搾乳時には牛が過ごす場所の掃除をし、蹄病の予防として定期的に足浴をします。病気になりにくい清潔な環境作りに努めています。
○暑さが苦手な牛たちが快適に過ごせるよう、夏場は特に暑熱対策に力を入れています。大型換気扇やシャワー、ミスト装置など、牛舎内の温度・湿度を適切に保つための設備を導入しています。
牛たちは人が思っている以上に繊細な生き物です。できる限りストレス要素を減らすためのより良い環境を求め、日々模索を続けています。
最新技術で牛をリアルタイム管理
「U-motion(ユーモーション)」を導入、牛の行動をモニタリングしています。
U-motionとは、牛につけたタグで24時間365日の行動データを記録し、数値化するものです。採食、飲水、反芻、動態、起立、横臥、静止といった牛の主要な動きをデータとして蓄積、分析します。その結果から、発情や運動量低下等の異常を把握し、より早い段階で対応ができるようになりました。
牛の状態を観察し問題を未然に防ぐことが、酪農業の大切さでもあり難しさでもあります。人による見回りでは、どうしても、作業時間の限りや、経験による個人差がでてきてしまいます。フリーストール牛舎での“牛が自由に動き回れるからこその個体管理の難しさ”を補う、とても心強いツールです。
ゲノミック検査の受検
牛の遺伝子を調べることで、その遺伝的能力を推定する「ゲノミック検査」はアメリカやカナダなどで経産牛や後代検定済み種雄牛の膨大なデータを集めることで信頼度が向上しています。
わたなべ牧場では牛一頭ずつゲノミック検査を行い、生産形質や健康形質などを把握し、遺伝改良のスピードを飛躍的に向上しています。
オンファームカルチャー(培養検査)を実施
乳房炎の発症が疑われても緊急で甚大な症状が出ていなければ、すぐに治療には入りません。乳房炎が疑われる乳房ごとに乳汁を採取し、原因菌を特定する為の培養検査を行い、原因菌に合わせた最も効果的な治療方法を選択しています。
以前は、乳汁にブツが出て乳房炎の発生が疑われた後、軽度なら絞り捨てで経過観察、それ以上なら発見直後から症状が治まるまで投薬をしていました。この方法ですと、基準が曖昧で人によって判断が違ったり、牛乳の破棄に加えて薬代も多くかかり費用面での負担も少なくはありませんでした。今では過剰な投薬を無くすことにより、より効率的な乳房炎治療ができています。
健康な体作りは子牛から
○子牛を育てる育成舎では、冬季の寒さ対策としてヒーターを、夏期の暑さ対策として大型換気扇を設置し、冬暖かく夏涼しい快適な環境をつくっています。
○冬季には、産後の濡れた体の早期乾燥と体温低下を防ぐために、子牛用の乾温機を導入しています。
○産後の子牛にはなるべく早く初乳を与えます。与える乳は、必ずパスチャライザーという装置で加熱殺菌を行い、母乳からの病原菌の伝染を防ぎます。
成牛の健康は子牛の頃の過ごし方に影響されることが多く、「なんだか調子が悪いな」と感じた成牛の経歴を調べてみると子牛の頃に治療歴が多い、ということはよくあります。産まれたばかりで免疫力のとぼしい子牛の時期の健康管理を大切にすることは、その牛の一生を決めるほどの重要なことだと考えています。